月次点検って何をする?現場での問診から報告書作成までのルーティンを公開

電気管理技術者の実務

電気管理技術者として避けては通れない基本業務、それが「月次点検」です。

毎月繰り返すルーティンだからこそ、「いつも通り」という慣れの中に事故の予兆が隠れていることも少なくありません。月次点検の本質は、単なる確認作業ではなく、技術基準への適合を維持し、電気事故を未然に防ぐ「予防保全」にあります。

本記事では、月次点検の真の目的から、現場に行く前の準備、五感をフル活用した具体的な点検項目、そしてお客様の信頼を勝ち取る報告のコツまで、実務に即したノウハウを徹底解説します。

「現場で具体的にどこを見ればいいのか?」「点検の質をもう一段階上げるには?」という疑問を持つ方は、ぜひ参考にしてください。

点検の目的:事故を防ぐ「予防保全」

月次点検の核心は、一言でいえば「電気事故を未然に防ぐこと」です。

電気設備は、壊れてから直す「事後保全」では遅すぎます。

  • 波及事故の防止:自社だけでなく、地域全体の停電を防ぐ。
  • 安全の継続:常に法令の「技術基準」を満たしているかチェックする。

月次点検で行うこと

月次点検は、設備を止めることなく「生きた状態」で診断を行います。具体的には以下の3つの柱で異常をキャッチします。

現場の「健康状態」を多角的に把握

電気設備が今まさに稼働している中で、以下の状態がないかを徹底的に洗い出します。

異常・不具合(異音、異臭、油漏れなど)

不安全な状態(扉の施錠不備、可燃物の放置など)

不適当な状態(技術基準に適合していない設置状況など)

「問診」による情報収集

設備だけを見るのが点検ではありません。現場の担当者やオーナーさんへの「問診」も重要な業務です。

異常の聞き取り:「ビリっときた経験はなかったか」「変な音がしたと言われなかったか」といった現場の声から異常を調査します。

工事予定の把握:電気設備に損傷を与える恐れのある工事(近接掘削や増設など)の実施予定を事前に把握し、事故があっても迅速に対応できるようにしておきます。

目視点検と数値測定

最後は、五感と計測器を使った客観的な診断です。

外観点検:各電気設備の目視確認(錆、変色、ひび割れ、小動物の侵入痕など)。

数値測定:各回路の電圧・電流・温度を測定。定格内に収まっているか、異常な発熱がないかを確認します。

数値(データ)と、現場の声(問診)。この両方を組み合わせることで、精度の高い「予防保全」が可能になります。

点検の質を高める「準備」と「項目」

「事前準備」

点検予定日の連絡:外部委託の場合、あらかじめ事業場へ連絡し、スムーズに点検できる環境を整えます。

懸案事項の整理:前回までに発見した設置者からの懸念事項について、進捗や回答を準備しておきます。

訪問直後の問診:現場到着後、まず担当者にヒアリングを行います。「異常あり」との回答があれば、その箇所を最重点項目として調査します。

点検報告書の項目(チェックリスト)

電圧・電流の測定:負荷バランスや電圧降下が許容範囲内かを確認。

電力量計の確認:使用電力量の推移を把握し、異常な増減がないかチェック。

外観・温度点検:機器の取り付け状態や変色、異音、放射温度計による異常発熱の確認。

漏洩電流の測定変圧器B種接地線をクランプし、絶縁状態を監視。

絶縁監視装置の試験:装置が正しく動作するか、試験ボタン等で確認。

これらはあくまで基本の項目。実際には設備の構成や環境によって、他にも点検すべきポイントはたくさんあります。 現場ごとに「どこが弱点か」を見極めるのも、管理技術者の腕の見せ所ですね。

他には以下のような項目もあります。
VCB(真空遮断器)の動作回数確認

コンデンサの膨らみチェック

キュービクル天面の錆や雨漏り跡の確認

蓄電池(UPS)の液漏れ・電圧確認

報告書の作成とお客様への説明

報告書の作成:正確さとスピードが命

現場での確認・測定結果を報告書にまとめます。

  • 異常箇所の明確化:異常がある場合は、写真(サーモグラフィ等)を添えて、誰が見ても分かるように記録します。(代行者が現場に行っても分かるようにです!)
  • 判断の根拠を明記:測定値が技術基準やメーカー推奨値に対してどうなのか、客観的な数値を残します。

お客様への説明:信頼を築くコミュニケーション

報告書を渡す際の説明が、お客様の安心感に繋がります。

結論から話す:まずは「異常の有無」をはっきりと伝えます。

専門用語を避ける:電気の知識がない担当者の方にも伝わるよう、身近な例えを使って説明します。

リスクと対策を提示:不具合があった場合、「放置するとどうなるか」「いつまでに、どんな修理が必要か」を具体的に提案します。

報告書は、いわば「設備の履歴書」です。また、しっかりとした説明は「この人に任せておけば安心だ」というリピートや紹介にも繋がります。
技術力はもちろん、伝える力も管理技術者には欠かせないスキルですね。

月次点検は「未来の安心」への投資

月次点検は、毎月のルーティンワークに見えて、実は電気設備の安全を支える「予防保全」の要(かなめ)です。

今回の振り返り

  • 目的:技術基準への適合を確認し、電気事故を未然に防ぐ。
  • 基本:稼働中の「活線状態」だからこそわかる異常(熱・音・漏電)を見逃さない。
  • 準備:事前の連絡、過去の懸案事項の整理、そして現場での「問診」が点検の質を決める。
  • 報告:正確なデータと分かりやすい説明で、オーナー様との信頼関係を築く。

「他にもチェックすべき細かいポイント」は現場ごとに無数にありますが、まずはこの基本を徹底することが、一人前の管理技術者への第一歩です。

現場の数だけ発見があり、点検の数だけ学びがあります。
日々の地道な点検の積み重ねが、自分自身のスキルアップと、お客様の「当たり前の日常」を守ることに直結しています。明日からの点検も、五感を研ぎ澄ませて取り組んでいきましょう!

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